赤ちゃんの供養に手元供養を選ぶ
理由と進め方について解説

赤ちゃんの供養に手元供養を選ぶ理由と進め方について解説

大切な命を失った悲しみの中で、多くの夫婦が供養の方法について悩んでいます。

近年、仏壇やお墓を持たずに、自宅で大切な存在を偲ぶ「手元供養」が、赤ちゃんの供養方法として注目を集めています。

手元供養は、赤ちゃんをいつでもそばに感じながら、夫婦のペースで想いを伝えていける、とても温かい供養のかたちです。

本記事では、赤ちゃんの手元供養について、夫婦で考えるために知っておきたいポイントをまとめました。

手元供養を選ぶ理由やメリットだけでなく、注意点や具体的な進め方まで、ひとつひとつ丁寧に解説します。

赤ちゃんの供養に手元供養が選ばれる理由

「手元供養」とは、故人の遺骨や遺灰の全部または一部を、お墓ではなく自宅などの身近な場所に置いて供養する方法です。

従来のお墓や仏壇で供養するという形にとらわれない、新しい供養のスタイルとして注目されています。

特に、最愛の赤ちゃんを亡くした夫婦にとって、「いつでもそばにいてあげたい」「離れたくない」という気持ちは、痛いほど自然な感情です。

手元供養は、そんな夫婦の切なる想いに寄り添い、悲しみを癒やすための大切な心の拠り所となることから、選ぶ方が増えています。

赤ちゃんを手元供養する5つのメリット

赤ちゃんの手元供養は、単に遺骨をそばに置くだけの行為ではありません。

それは、夫婦にとって悲しみを乗り越え、これからの人生を歩んでいくための大切な時間でもあります。

ここでは、赤ちゃんの手元供養がもたらしてくれる5つの大きなメリットをご紹介します。

  • いつでも赤ちゃんをそばに感じられる安心感が得られる
  • 夫婦で想いを共有し、悲しみを分かち合える
  • 形式にとらわれず、自分たちらしい供養ができる
  • 仏壇やお墓がなくても、家庭内で供養ができる
  • 時間や場所に縛られず、自由なスタイルで供養できる

いつでも赤ちゃんをそばに感じられる安心感が得られる

手元供養を選ぶ最大のメリットは、物理的な距離の近さがもたらす心の安らぎにあります。

朝起きたときや眠りにつく前、ふとした瞬間に語りかけたり、手を合わせたりすることができます。

「おはよう」「おやすみ」と声をかけるたびに、赤ちゃんの存在を常にそばに感じることができ、深い安心感へとつながっていきます。

夫婦で想いを共有し悲しみを分かち合える

手元供養品を置いた場所は、夫婦にとって赤ちゃんを想う共通の空間となります。

一緒に手を合わせ、語り合う時間は、言葉にならない悲しみを分かち合い、お互いを支え合う大切なひとときです。

こうした日々の積み重ねが、夫婦の絆をさらに深めてくれるでしょう。

形式にとらわれず自分たちらしい供養ができる

手元供養には、決まったルールや形式はありません。

宗教や宗派にとらわれることなく、何よりも二人の気持ちを大切にすることができます。

赤ちゃんが好きだったおもちゃや絵本を一緒に飾ったり、季節に合わせてお花を変えたりして、
二人だけの、愛情あふれる特別な空間をつくることができます。

仏壇や墓地がない家庭でも供養できる

現代の住宅事情では、仏壇やお墓を設けるスペースの確保が難しい家庭も増えています。

特にマンションやアパートといった賃貸住宅では、宗教的な施設や墓地に通うことが現実的でないケースも少なくありません。

その点、手元供養はわずかなスペースで始められ、形式にとらわれず心を込めた供養ができるのが特徴です。

仏壇や墓地がなくても、自宅のリビングや寝室の一角に故人を偲ぶスペースを設けることで、日常の中に自然と供養の時間を取り入れることができます。

時間や場所に縛られず供養できる

従来の供養では、お寺や墓地に足を運ぶ必要があり、仕事や子育てに忙しい家庭にとっては大きな負担となりがちです。

その点、手元供養は時間的・地理的な制約から解放され、自分たちのペースで供養できるのが魅力です。

命日や節目の法要だけでなく、ふとした瞬間に手を合わせたり声をかけたりすることで、日々の暮らしに自然と溶け込む、新しい供養のかたちが実現します。

決める前に知っておきたい手元供養の注意点

多くのメリットがある手元供養ですが、決める前に注意しておきたいポイントもあります。

  • 周囲の理解が得られない可能性がある
  • 将来的な遺骨の管理について考えておく必要がある

周囲の理解が得られない可能性がある

親世代や親戚と価値観が異なることで、手元供養が理解されない場合もあります。

そのため、事前に手元供養の意味や目的を丁寧に説明することが大切です。

また、話し合いには夫婦で意見を一致させたうえで臨むことが、誤解を避けるためにも重要です。

将来的な遺骨の管理を考えておく必要がある

自分たちが高齢になったり亡くなったりした際、手元供養の遺骨の行き場がなくなる可能性があります。
そのため、あらかじめお墓の準備や納骨堂の契約など、最終的な納骨先を確保しておくことが大切です。

また、将来的に管理が困難になった場合に備えた対応策についても考えておく必要があります。

赤ちゃんの手元供養に適した手元供養品

ここでは、赤ちゃんの手元供養に適した代表的な手元供養品を3つ紹介します。

  • ミニ骨壷
  • 遺骨アクセサリー
  • ミニ仏壇・ステージ

ミニ骨壷

小さくて可愛らしいデザインの骨壷です。

ごく少量の遺骨を納め、リビングの棚の上や寝室のサイドテーブルなど、夫婦がもっとも落ち着ける場所に置きます。

陶器やガラス、木製など温かみのある素材のものが多く、一見して骨壷とは分からないような、部屋に馴染むデザインも豊富です。

赤ちゃんのイメージに合った色や形を選んであげましょう。

遺骨アクセサリー

ペンダントや指輪、ブレスレットなどの内部に、ごく微量の遺骨や遺灰を納められるアクセサリーです。

「家だけでなく、外出先でも赤ちゃんと一緒にいたい」という想いを叶えてくれます。

お守りのように身に着けることで、心が強くなったり、穏やかになれたりする方もいます。

夫婦でペアのデザインを選び、絆の証として大切にするのも素敵です。

ミニ仏壇・ステージ

ミニ骨壷や遺骨アクセサリー、母子手帳などを一緒に飾るための、小さな祈りの空間です。

従来の仏壇のイメージとは異なり、リビングに置いても違和感のないモダンでおしゃれなデザインのものがたくさんあります。

赤ちゃんのための祭壇として、お花を飾ったりお水を供えたりすることで、日々の暮らしの中で自然と手を合わせる習慣が生まれます。

死産や水子となってしまった赤ちゃんも手元供養できる?

可能です。

死産や流産(水子)で、この世に生まれてくることが叶わなかった赤ちゃんも、かけがえのない家族の一員です。

妊娠週数によっては、法律により火葬が義務付けられている場合があります。

その際は遺骨が残るため、分骨して手元供養を行うことができます。

一方で、火葬が行えなかったり、遺骨が残らなかったりするケースでも、手元供養を諦める必要はありません。

へその緒やエコー写真、赤ちゃんのために用意したベビー服など、**赤ちゃんが確かにこの世界に存在した証となる思い出の品(形見)**を、ミニ骨壷や専用のケースに納めて供養することが可能です。

手元供養をはじめるまでの3つのステップ

手元供養をはじめるまでの3つのステップについて解説していきます。

  • Step1.まずは夫婦で気持ちを話し合う
  • Step2.赤ちゃんに合う手元供養品を選ぶ
  • Step3.【必要な場合】分骨の手続きについて

Step1.まずは夫婦で気持ちを話し合う

何よりも大切なのは、二人の気持ちです。

「どのように供養してあげたいか」「手元供養についてどう感じているか」を、時間をかけてじっくり話し合いましょう。

どちらか一方の意見だけで進めるのではなく、お互いの悲しみや想いを尊重し合い、共有することが、これからの心の支えとなります。

Step2.赤ちゃんに合う手元供養品を選ぶ

二人の気持ちが固まったら、赤ちゃんに合う手元供養品を探しましょう。

先述したミニ骨壷や遺骨アクセサリー、ミニ仏壇など、さまざまな種類があります。

二人のライフスタイルや赤ちゃんのイメージをもとに、「これなら、あの子も喜んでくれるかな」と思えるような、心から納得できるものを、焦らずに選んでいきましょう。

Step3.【必要な場合】分骨の手続きについて

分骨(ぶんこつ)とは、遺骨を複数に分けて、それぞれを手元供養品やお墓・納骨堂などに納めることをいいます。

火葬の際に分骨を希望する場合は、事前に火葬場や葬儀社の担当者に「分骨したい」と伝えておきましょう。
分骨用の小さな骨壷を用意してくれることもあります。

すでにお墓に納めた遺骨から分骨する場合は、お寺や霊園などの管理者に連絡し、手続きについて確認してください。

火葬時に分骨する場合、自宅での手元供養を目的とするなら、分骨証明書は不要なことがほとんどです。
ただし、将来的に別のお墓や納骨堂に移す予定がある場合は、分骨証明書を発行してもらっておくと安心です。

まとめ:赤ちゃんを想う気持ちを形にできる手元供養

赤ちゃんの手元供養は、大切な存在を日常の中で静かに、そして深く偲べる、現代的な供養のかたちです。

仏壇やお墓がなくても、赤ちゃんとの絆を感じながら、心に寄り添う時間を過ごすことができます。

家族の状況や気持ちに合わせて、無理のない方法で供養を取り入れることが、何よりも大切です。

そして、夫婦で支え合いながら話し合う時間も、赤ちゃんへの何よりの供養となるでしょう。