
近年、故人を身近に感じながら供養したいという思いから、手元供養への関心が高まっています。
特に、既製品ではなく自分の手で心を込めて作る手作りの手元供養品は、故人への愛情をより深く表現できる方法として注目されています。
そこで本記事では、手元供養品の手作り方法や注意点、必要な道具について、初心者でも安心して取り組めるように詳しく解説しました。
DIYで作れる手元供養品の種類や具体的な作り方を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
手元供養品を手作りする意味と魅力

まずは、手作りの手元供養品の価値と魅力について詳しく見ていきましょう。
- 手作り手元供養品の魅力
- 既製品との違いとメリット
手作り手元供養品の魅力
手作りの手元供養品には、既製品では得られない特別な価値があります。
まず、制作過程そのものが故人を偲ぶ時間となり、供養の一環として意味を持ちます。
ひとつひとつの作業に故人への想いを込めることで、深い愛情表現が可能になります。
また、故人の好みや思い出を反映したオリジナルデザインを実現できる点も、大きな魅力のひとつです。
故人が愛用していた色や柄、共有した思い出の品を取り入れることで、その人らしさを表現した唯一無二の手元供養品を作ることができます。
制作にかかる時間や労力も、故人への愛情の証として大切な意味を持ちます。
完成したときの達成感や満足感は、故人との絆をより深く感じさせてくれるでしょう。
既製品との違いとメリット
手作り手元供養品のおもなメリットはこちらです。
- 唯一無二の個性を表現できる
- 制作過程自体が供養行為となる
- 経済的負担を軽減できる
- カスタマイズの自由度が高い
既製品の手元供養品は品質が安定しており、すぐに使える利便性がありますが、手作り品には既製品にはない温かみと個性があります。
手作りならではの微細な個体差や手作業の痕跡が、機械的な完璧さとは異なる人間味あふれる美しさを生み出します。
完成した作品には、その制作時間に込められた愛情と記憶が宿り、日々の供養においてより深い意味を持つのです。
手作りできる手元供養品の種類

手元供養品にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる技術や材料で制作できます。
ここでは、初心者でも挑戦しやすいものから本格的なものまで、手作りできる手元供養品を紹介します。
- ミニ骨壺・骨壷
- ミニ仏壇・供養台
- メモリアルオブジェ
- メモリアルボックス
- 遺骨ペンダント
ミニ骨壺・骨壷
手作りできるもっとも基本的な手元供養品は、ミニ骨壺です。
陶芸の知識があれば粘土から本格的に制作できますが、初心者には既存の小さな容器をリメイクする方法がおすすめです。
ガラス瓶や小さな陶器の容器を使い、装飾を施すことで個性的なミニ骨壺を作ることができます。
重要なのは密閉性と耐久性であり、遺骨を安全に保管できる構造にする必要があります。
ミニ仏壇・供養台
木工の基本技術があれば、シンプルなミニ仏壇を手作りすることができます。
市販の木材を使用し、のこぎりやドリルなどの基本工具で制作可能です。
サイズは設置場所に合わせて自由に調整でき、扉の有無や内部のレイアウトも自分好みにデザインできます。
装飾には木目を活かした仕上げや、故人の好きだった色での塗装、思い出の写真を飾れるスペースの確保などを考慮しましょう。
初心者の場合は、市販の小さな収納ボックスをベースにリメイクする方法から始めるとよいでしょう。
メモリアルオブジェ
故人の趣味や人柄を表現したオブジェもおすすめです。
陶芸や木工、手芸など、さまざまな技法を使って制作できます。
たとえば、花好きだった故人であれば花をモチーフにした陶製オブジェ、音楽好きだった方には楽器を模したオブジェなどが考えられます。
制作技法に制約はないため、自分の得意分野や利用可能な材料に応じて自由に発想し、制作できるのが魅力です。
完成品は手元供養スペースの中心的な存在となり、故人との思い出を呼び起こすきっかけになるでしょう。
メモリアルボックス
思い出の品と遺骨を一緒に保管するメモリアルボックスは、比較的制作しやすい手元供養品です。
木箱や布箱をベースに、内部を区切ってさまざまなアイテムを整理・収納できるよう設計します。
故人の写真や手紙、小物、そして分骨した遺骨を美しく配置できるレイアウトを考えましょう。
外装も故人らしさを表現できるよう、好きだった色や柄で装飾します。
遺骨ペンダント
金属加工の技術が必要ですが、基本的な工具と材料があれば遺骨ペンダントも制作できます。
ロケットペンダントタイプや、透明な樹脂に封入するタイプなど、さまざまなデザインが考えられます。
ただし、遺骨ペンダントを自作する際には、気密性・耐久性・衛生面に十分注意が必要です。
既製品はネジ式やシーリング処理などで密閉構造が施されていますが、DIYの場合は完全な密閉が難しくなることがあります。
長期保管を目的とする場合は、専門の素材や防湿技術を取り入れることをおすすめします。
【DIY実践編】手作り手元供養品の作り方

ここからは、実際に手を動かして制作する段階に入ります。
初心者でも安心して取り組めるよう、詳しく解説していきます。
- 必要な材料と道具を準備する
- シンプルなミニ仏壇の作り方
- メモリアルボックスのDIY方法
必要な材料と道具を準備する
手作り手元供養品の制作には、作るアイテムによって異なる材料と道具が必要です。
基本的な道具として、以下のものを準備しましょう。
- 測定用の定規やメジャー
- カッター
- はさみ
- 接着剤
- サンドペーパー など
材料選びでは、安全性と耐久性を最優先に考えます。
遺骨に直接触れる部分には、食品グレードのステンレスや陶磁器など、化学的に安定した有害物質を含まない素材を選びましょう。
木材なら無垢材、金属なら錆びにくいステンレスや真鍮などが適しています。
作業スペースは十分に確保し、換気の良い場所で作業してください。
特に塗装や接着剤を使用する際は、適切な換気が必要です。
シンプルなミニ仏壇の作り方
材料と道具
- ベース用木箱(15cm×10cm×10cm程度)
- 内装用フェルト生地
- 蝶番(扉用)
- 木工用接着剤
- アクリル絵の具
- 筆
- サンドペーパー
- ドリル
作成手順
- 1.木箱の表面をサンドペーパーで滑らかに仕上げます
- 2.扉部分をのこぎりでカットし、蝶番で取り付けます
- 3.内装にフェルト生地を接着剤で貼り付けます
- 4.外装をお好みの色で塗装し、完全に乾燥させます
完成後は、設置場所の安定性を確認し、直射日光や湿気を避けた場所に置いてください。
メモリアルボックスのDIY方法
材料と道具
- ベース用木箱またはプラスチックケース(20cm×15cm×8cm程度)
- 仕切り用薄板材(厚さ3mm程度のベニヤ板)
- 内装用布またはフェルト生地
- 外装装飾用材料(和紙、布、リボンなど)
- 透明アクリル板(写真立て用、厚さ2mm)
- 小さな金具(蝶番、留め具など)
- のこぎり(細工用)
- ドリル(小径ビット付き)
- カッター
- はさみ
- 定規
- 鉛筆
- サンドペーパー
制作手順
- 1.基本となる木箱やプラスチックケースを選びます
- 2.内部の仕切り設計図を作成します
- 3.仕切り用の板材をカットして組み立てます。
- 4.内装材(布やフェルト)を貼り付けます。
- 5.外装の装飾を施します。
- 6.全体の仕上げと品質確認を行います。
メモリアルボックスは機能性とデザイン性の両立が重要です。
内部には仕切りを設け、写真や手紙、遺骨容器などをそれぞれ適切に配置できるよう設計します。
また、故人の好きだった色や柄を外装に取り入れ、その人らしさを表現しましょう。
手元供養品の手作り時の注意点と配慮事項

手元供養品を手作りする際には、通常のDIYとは異なる、特別な配慮が求められます。
遺骨を扱うことへの責任と、故人への敬意を忘れず、安全かつ適切な方法で制作を進めましょう。
- 遺骨を扱う際の注意点
- 材料選びで気をつけること
- 衛生面・保存面での配慮事項
遺骨を扱う際の注意点
遺骨を扱う際は、最大限の敬意と注意を払うことが大切です。
作業の前には手をよく洗い、清潔な環境で行いましょう。
遺骨を移す際は、こぼさないよう慎重に作業し、万が一こぼれてしまった場合も、落ち着いて丁寧に回収します。
材料選びで気をつけること
手元供養品の材料選びでは、安全性を最優先に考えることが大切です。
有害な化学物質を含む材料は使用せず、長期間の使用に耐えられる耐久性の高い素材を選びましょう。
また、アレルギーを引き起こす可能性のある材料も避ける必要があります。
ご家族にアレルギーのある方がいる場合は、事前に材料の成分を確認し、安全性をしっかりと確保してください。
衛生面・保存面での配慮事項
制作過程では常に清潔な状態を保ち、完成品も適切に保管できる構造にしましょう。
湿気対策としては、密閉性の確保や除湿剤の使用を検討することが有効です。
また、定期的に清掃できるように、メンテナンスしやすい設計にすることも重要です。
まとめ:手元供養品を手作りする際は心を込めておこないましょう

手元供養品の手作りは、故人への愛情を形にする特別な方法です。
制作の過程そのものが供養の一環となり、完成した作品には既製品にはない温かみと個性が宿ります。
もっとも大切なのは、故人への感謝と愛情を込めて制作することです。
完璧な技術よりも、心のこもった手作りの温かみこそが、日々の供養に深い意味をもたらしてくれるでしょう。